
チャートに線を引けば、相場の向きが分かる。トレンドラインには、そんな分かりやすいイメージがありました。
ところが、実際に線を引こうとすると迷います。どの安値を選ぶのか。ヒゲに合わせるのか。少し割れたら、もう上昇は終わりなのか。人によって線の位置が違って見えるのも気になるところです。
そこで今回は、トレンドラインを基本から学び直しました。調べてみると、きれいな線を引くことより、その線を信じすぎないことの方が大切だと分かりました。
今回学び直して分かった3つ
- 上昇では安値、下降では高値を結ぶ
- 2点で引いた線は仮説。3点目の反応が確認材料
- 触れた・少し割れただけで売買を決めない
トレンドラインは何を見る線?
まず疑問だったのは、トレンドラインが何を表しているのかです。
トレンドラインとは、チャート上の重要な安値同士、または高値同士を結んだ直線です。上昇では切り上がる安値を、下降では切り下がる高値を結びます。
ただし、線そのものが株価を支えているわけではありません。「前回はこの付近で反発した」と考える人が増えると、その周辺に注文が集まりやすくなります。
つまり、未来の株価を当てる線ではなく、多くの市場参加者が意識していそうな場所を整理する線です。ここを取り違えると、「ラインに触れたから買い」と単純に考えてしまいそうです。
上昇と下降、どこを結ぶ?
覚え方は意外とシンプルでした。上昇は安値、下降は高値です。
上昇トレンドラインは、安値と次の切り上がった安値を結びます。価格の下側に引くので、押し目になりそうな場所を考える目安になります。
下降トレンドラインは、高値と次の切り下がった高値を結びます。こちらは価格の上側です。空売りをしなくても、「まだ新規で買わない方がよいか」を考える材料になります。
2点を結べば完成?正しい引き方を学び直す
2つの安値があれば線は引けます。しかし、調べ直すと2点だけではまだ仮説でした。選ぶ場所を変えれば、いくつもの線を引けてしまうからです。
- 最初に全体を見る
チャートを少し縮小し、上昇・下降・レンジのどれに近いかを見ます。日足を見るなら、週足の流れも先に確認します。 - 重要な安値・高値を2つ選ぶ
上昇なら安値、下降なら高値を直線で結びます。小さな揺れまで全部通す必要はありません。 - 3点目の反応を待つ
延長先で3回目の反応があれば、ほかの参加者も同じ付近を見ている可能性が高まります。

ヒゲは必ず先端に合わせる?
基本は、ローソク足の実体だけでなくヒゲも含めて見ます。ただし、一時的に付いた長いヒゲへ無理に合わせると、ほかの反応点から大きくずれることがあります。その場合は実体や周辺の値動きも見ながら位置を探します。
「必ずヒゲ先」というルールではありません。結局、誰が引いてもまったく同じ線になるわけではないようです。
今回の確認メモ
- 自分の予想に合わせて角度を動かしていないか
- すべてのローソク足へ無理に合わせていないか
- 3点目だけでなく、反発の仕方や出来高も見たか
接触回数が増えても、次の反発が約束されるわけではありません。何度も試されるうちに、ライン付近の注文が減って抜けやすくなる場合もあります。
トレンドラインを売買ではどう使う?
ライン付近まで下がると買いたくなります。でも、今回いちばん気をつけたいと思ったのが、触れただけで売買しないことでした。
押し目になりそうか考える
上昇トレンドライン付近まで下落した場面は、押し目の候補です。ただし、その場ですぐ買うのではなく、陽線へ変わったか、下ヒゲが出たか、出来高はどうか、直近安値を割っていないかを確認します。
下降中なら新規買いをいったん待つ
下降トレンドライン付近への上昇は、戻りの候補です。空売りをしなくても、保有株の売却を考える、新規買いを見送る、といった使い方ができます。
勢いが弱くなっていないかを見る
直近高値を更新できない。ラインの傾きが緩くなる。終値で明確に割る。こうした変化は、上昇の勢いが落ちてきたサインかもしれません。
とはいえ、ライン割れだけで下降トレンド確定とは言えません。高値や安値の切り下げが続くかを見ながら、必要なら分割して利益確定する。1本の線だけで全売却を決めるのは少し乱暴でした。
少し割れたらトレンド終了?
ラインを少し割ったあと、すぐ元へ戻ることがあります。これが「ダマシ」です。では、どこまで抜けたらブレイクと考えればよいのでしょうか。

確認方法として使われるのが、3%ルールと2日ルールです。終値でおよそ3%以上抜けたか、抜けた状態が2日程度続いたかを見ます。
ただし、これも絶対の正解ではありません。値動きの大きい小型株と穏やかな大型株、日足と分足では同じ3%でも意味が変わります。
古いラインを引き直すのは間違い?
上昇や下降の速度は一定ではありません。途中から加速することも、勢いが弱まって傾きが緩くなることもあります。
新しい安値・高値ができて古い線が合わなくなったら、現在の値動きに合わせて引き直します。これは分析の失敗ではなく、相場が変化した結果です。急角度のラインほど短期間で破られやすい点も覚えておきたいところです。
初心者がトレンドラインでやりがちな5つの間違い
ここまで学び直して、初心者のうちは同じところで間違えやすいと感じました。私も気をつけたい5つのポイントを整理します。
- 予想に合うよう線を動かす
売買前に線を引き、あとから都合よく角度を変えないようにします。 - 2点だけで強い線だと思う
2点ではまだ仮説。3点目の反応を待ちます。 - 触れた・少し割れただけで売買する
終値、値幅、日数、ローソク足を確認します。 - 古い線や短期足に固執する
新しい高安値で引き直し、上位足の流れも見ます。 - 線を増やしすぎる
今見る線を2〜3本に絞り、出来高や移動平均線と組み合わせます。
特に気をつけたいのは、自分の予想に合う線を探してしまうことです。線を増やすほど分析した気になりますが、今見る線を絞った方が変化に気づきやすそうです。
実例チャートで本当にそう見えるか
ここまで整理した内容が、実際のチャートでも確認できるのか見てみます。使うのは三菱HCキャピタル(8593)の週足で、表示期間は2023年7月3日〜2024年7月31日です。

2023年8月18日の安値865.0円と、12月22日の安値920.7円を結ぶと、仮の上昇ラインを引けます。
3点目になりそうな2024年4月19日の安値は995.1円でした。同じ週の中心線は973.3円なので、差は2.2%です。
確認してみると、ぴったり線上で反発していたわけではありませんでした。そこで今回は「正確に3回接触した」とは言わず、ライン付近の帯で下げ止まった例として見ています。
教科書の図ではきれいに接触しますが、実際のチャートはそこまで都合よく動きません。トレンドラインを1本の正解ではなく、少し幅のある目安として見る理由がここにありそうです。
株価データ出典
Yahoo Finance chart data(2026年7月30日取得)。三菱HCキャピタル(8593.T)の日足OHLC・出来高を週足へ集計。株式分割等は配信データの表示に基づきます。
今回学び直して分かったこと
- トレンドラインは、相場の方向と勢いを整理する道具です。
- 上昇では安値、下降では高値を結びます。
- 2点では仮説で、3点目の反応が確認材料になります。
- ヒゲを含む全体を見て、すべての足へ無理に合わせません。
- ラインに触れただけで売買しません。
- ブレイクは終値・値幅・日数を確認します。
- 勢いが変わったら引き直し、ほかの分析と組み合わせます。
結局、線を引くこと自体は簡単です。難しいのは、自分が引いた線を正解だと思い込まないことでした。
まずは上位足で大きな流れを見て、重要な2点を結ぶ。そして3点目を待つ。私も線を増やしすぎず、この基本からチャートを見直していきたいと思います。
今回参考にした本
『マーケットのテクニカル分析』
ジョン・J・マーフィー著/パンローリング
ISBN 978-4-7759-7226-7
トレンドだけでなく、出来高やチャートパターンもまとめて学び直したい人向けの一冊です。
※Amazonアソシエイトリンク設定時は、書籍画像とURLを差し替え、必要な開示表記を有効にします。
参考資料
- John J. Murphy, Technical Analysis of the Financial Markets/日本語版『マーケットのテクニカル分析』
- StockCharts ChartSchool「Trend Lines」
- Yahoo!ファイナンス 三菱HCキャピタル(8593)時系列
※この記事は、私が学び直した内容を整理したもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。チャートの線には判断が含まれ、将来の値動きを保証しません。数字の打ち間違いや情報が古い部分もあるかもしれません。投資前に最新情報を確認し、最終判断はご自身でお願いします。
Xでも日々の投資のぼやきや銘柄考察をつぶやいています。気軽にフォローやリプライで絡んでもらえたら嬉しいです!【 https://x.com/Zundamontousi 】



コメント