
株価が大きく上がったあと、「どこまで下がれば押し目なのだろう」と迷うことがあります。少し下がっただけで買うと、まだ下落の途中かもしれません。待ちすぎると、反発したあとになってしまいます。
そこで使われるのがリトレースメントです。難しい予測方法だと思っていましたが、考え方はシンプルでした。直前の上昇や下落に対して、反対方向へどれだけ戻ったかを測るものです。
ただし、33%や50%に来たら必ず反発するわけではありません。今回は、売買を決める線ではなく、次に反応を確認する場所を絞る道具として学び直します。
今回学び直して分かった3つ
- 基準にする高値と安値を先に決める
- 33%・50%・66%は、反応を確認するおおよその目安
- 水準へ来ただけでは売買せず、ローソク足や高値・安値を見る
リトレースメントは何を見る?
リトレースメントは、トレンドと反対方向へ一時的に動く「押し」や「戻り」を、直前の値幅に対する割合で表す考え方です。
たとえば1,000円から1,600円へ上昇した場合、上昇幅は600円です。その後1,300円まで下がれば、300円下がったので50%の押しになります。
ここで大切なのは、株価そのものの騰落率ではなく、基準にした上昇幅または下落幅の何割を戻したかを見ることです。
また、どの高値と安値を選ぶかで結果が変わります。小さな値動きを測るのか、週足で見える大きな流れを測るのかを先に決めます。
33%・50%・66%は何が違う?

約33%は浅い押し・戻り、50%は半値押し・半値戻し、約66%は深い押し・戻りを見る目安です。
浅い位置で反発すれば勢いが保たれている可能性があります。半値付近は多くの参加者が意識しやすい水準です。3分の2付近まで戻ると、元のトレンドが続くかをより慎重に確認したい場面になります。
ただし、深さだけで相場の強弱は決められません。値動きの速さ、出来高、相場全体の地合いでも意味が変わります。
38.2%・61.8%とは違う?
チャート機能では、フィボナッチ比率の38.2%・50%・61.8%が表示されることがあります。今回扱う3分の1・2分の1・3分の2とは数値が少し違いますが、どちらも押しや戻りの深さを段階的に見る考え方です。
初心者のうちは細かな数字を増やしすぎず、まずは「浅い・半分・深い」の3段階で見る方が整理しやすそうです。
押し・戻りの水準をどう計算する?

上昇後の押しを測る場合は、「高値 − 値幅×戻り率」で計算します。1,000円から1,600円なら、50%押しは1,600円−600円×0.5=1,300円です。
下降後の戻りを測る場合は逆です。「安値 + 値幅×戻り率」で計算します。1,600円から1,000円へ下落した場合、50%戻しは1,000円+600円×0.5=1,300円になります。
測る前の確認メモ
- 日足を測るなら週足の大きな流れも見る
- 目立つ安値から高値まで、同じ値動きを基準にする
- 自分の予想に合うよう起点と終点を動かさない
リトレースメントを売買ではどう使う?
上昇後は、33%・50%・66%付近を押し目候補として観察します。ただし、水準へ届いた瞬間に買うのではありません。
下ヒゲや陽線が出たか、安値の切り上げが続いているか、出来高に変化があるかを確認します。過去の高値や移動平均線など、別の根拠が同じ付近に重なれば注目度は高まりやすくなります。
下降後の戻りでは、同じ水準を新規買いを見送る場所や保有株を見直す材料にできます。空売りを積極的に勧めるものではありません。

数字はぴったりの売買価格ではなく、少し幅を持つ候補帯として見ます。何も反応せず通過したなら、その水準にこだわらず次の動きを確認します。
66%を超えたらトレンド転換?
3分の2を超える深い押し・戻りは、単なる調整ではなく、元のトレンドが弱くなった可能性を考える材料になります。
ただし、66%を1円超えたから転換確定、という使い方はできません。その後に元の安値・高値まで全て戻すのか、反発してトレンドへ復帰するのかを見ます。
上昇相場なら、起点の安値を割ったか、戻したあと直近高値を更新できるか、高値・安値が切り下がり始めたかを確認します。終値、値幅、日数も合わせて見れば、一時的なヒゲへ反応しすぎるのを避けやすくなります。
初心者がリトレースメントでやりがちな5つの間違い
- 起点と終点を都合よく選ぶ
売買前に、どの時間軸の値動きを測るか決めます。 - 50%なら必ず反発すると思う
水準は候補です。ローソク足や高値・安値の変化を待ちます。 - 33%・50%・66%を正確な1円単位で見る
少し幅のある価格帯として確認します。 - 短期足だけで測る
上位足にも別の大きな押し・戻りがないか確認します。 - 線を増やしすぎる
最初は3水準に絞り、支持線や出来高と重なる場所を優先します。
私がやりそうなのは、反発してほしい価格へ合うように起点を少しずつ動かすことです。それでは測定ではなく、後から答えを合わせる作業になってしまいます。
実例チャートで本当にそう見えるか
三菱重工業(7011)の週足で、2023年7月3日〜2024年1月31日を振り返ります。

7月21日の安値626.4円から、9月8日の高値926.2円までの上昇幅は299.8円でした。ここから計算すると、3分の1押しは約826.3円、半値押しは776.3円、3分の2押しは約726.3円です。
10月6日の安値は733.0円で、上昇幅に対する押しは約64.4%でした。3分の2押しへ近いものの、ぴったり一致したわけではありません。
その後も値動きは上下しましたが、2024年1月26日の高値は977.5円となり、基準にした9月高値を上回りました。この例からも、深い押しだけでトレンド終了と決めず、その後に高値を更新できるかまで確認する必要があると分かります。
実例チャートの確認事項
TradingViewの三菱重工業(7011)週足に、当ブログで33.3%・50%・66.7%のリトレースメント水準を描画しました。画像はTradingViewのスナップショット機能で出力しています。
今回学び直して分かったこと
- リトレースメントは、直前の値動きに対する押し・戻りの深さを測ります。
- 基本の目安は約33%・50%・約66%です。
- 上昇後は高値から下へ、下降後は安値から上へ測ります。
- 水準は正確な1本線ではなく、反応を確認する候補帯です。
- 水準へ来ただけで売買せず、ローソク足や出来高も見ます。
- 3分の2を超えても、すぐトレンド転換とは決めません。
- 起点・終点と時間軸を固定し、ほかの分析と組み合わせます。
私は半値押しという言葉を知っていても、どの値幅の半分なのかを曖昧にしていました。まず基準となる高値と安値を決め、3本の線は売買の答えではなく「ここから反応を見る」という付箋として使っていきます。
さらに体系的に学びたい人へ
参考書籍
『マーケットのテクニカル分析』
ジョン・J・マーフィー著/パンローリング
ISBN 978-4-7759-7226-7
トレンド、リトレースメント、価格パターンなどを体系的に学びたい人向けの一冊です。
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参考資料
- John J. Murphy, Technical Analysis of the Financial Markets/日本語版『マーケットのテクニカル分析』
※この記事は学習内容を整理したもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。各水準での反発やトレンド継続を保証せず、線の起点・終点には判断が含まれます。投資前に最新情報を確認し、最終判断はご自身でお願いします。
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