
「スピードライン」と聞いて、最初は値動きの速さを数字で表示する指標だと思いました。ところが、チャートへ引くのは2本の斜め線です。
考え方は、前回学んだリトレースメントに近いものでした。上昇または下降した高さを3分割し、3分の1と3分の2の位置をトレンドの起点と結びます。
ただ、線を引けたことと、その線で反発することは別です。今回は、スピードラインを売買の答えではなく、値動きのペースが変わったかを確かめる補助線として学び直します。
今回学び直して分かった3つ
- 起点と直近高値・安値の値幅を、縦に3分割して線を引く
- 急な2/3ラインを割ったら、緩やかな1/3ラインを次の確認候補にする
- 新高値・新安値ができたら、現在の値動きに合わせて引き直す
名前の「スピード」は何を見る?
スピードラインは、株価が1日に何円動くかを計算する指標ではありません。上昇や下降の値幅と、それにかかった時間を斜め線にして、トレンドの傾きを見やすくする方法です。
急な角度の線を維持していれば、速いペースが続いていると考えられます。その線を割り、緩やかな線へ近づけば、以前と同じ勢いではなくなった可能性があります。
線そのものが株価を動かしているわけではありません。スピードラインが過去の安値、移動平均線、節目の価格などと重なったときに、確認する場所を絞りやすくなります。
2本のスピードラインはどう引く?

上昇トレンドでは、まず上昇が始まった目立つ安値を起点にします。次に直近高値までの縦の値幅を測り、高値と同じ時間位置で、その高さを3分割します。
起点から3分の2の点を通る急な線が2/3スピードラインです。起点から3分の1の点を通る緩やかな線が1/3スピードラインです。
ここで私が間違えそうになったのは、高値そのものと起点を結ぶことでした。スピードラインが通るのは高値ではなく、高値までの高さを3分割した点です。
引く前の確認メモ
- 短期の小さな動きか、週足の大きな動きかを先に決める
- 反発してほしい場所に合うよう、起点を動かさない
- チャート機能を使う場合も、起点と高値・安値を自分で確認する
上昇と下降では何が違う?

上昇トレンドでは、安値を起点に右上へ2本の線を引きます。価格に近い急な2/3ラインが最初の支持候補になり、その下に緩やかな1/3ラインがあります。
下降トレンドでは、高値を起点に右下へ引きます。価格に近い急な2/3ラインが最初の抵抗候補となり、それを上抜いた場合は緩やかな1/3ラインを確認します。
空売りを積極的に勧めるものではありません。下降時の線は、新規買いを急がない判断や、保有株の戻りがどこで止まりやすいかを見る材料にもできます。
2/3ラインを割ったらどう見る?
上昇トレンドで2/3ラインを割った場合、値動きのペースが一段落した可能性を考えます。次に見る候補が1/3ラインです。
ただし、2/3ラインを少し割っただけで、必ず1/3ラインまで下がるわけではありません。ヒゲだけの一時的な割れもあります。終値で下回ったか、その後に高値・安値が切り下がったかを確認します。
1/3ラインも明確に割れたなら、起点付近まで戻る可能性を意識します。それでも下降トレンド確定とは限りません。過去の安値や出来高など、別の根拠と一緒に見ます。
高値・安値を更新したら?

上昇中に新高値ができると、縦の値幅が変わります。そのため、同じ起点から新しい高値を基準にして2本を引き直します。下降時に新安値ができた場合も同じです。
引き直すたびに角度が変わるので、最初は「前の線が間違っていたのか」と迷いました。しかし、引き直しは失敗ではなく、現在のペースへ測り直す作業です。
一方で、自分の予想に合う高値だけを選び直すのは避けます。どの時間軸を見ているのか、起点と高値・安値の日付を残しておくと、後から都合よく変えにくくなります。
スピードラインを売買ではどう使う?
上昇中は、2/3ライン付近を最初の押し目候補として観察します。ラインへ触れた瞬間に買わず、下ヒゲや陽線が出たか、安値が切り上がったかを見ます。
2/3ラインを割ったら、買いを急がず1/3ライン付近で反応を確認します。保有株では、利益の一部を確定するか、値動きを見直すきっかけにできます。
下降時は逆に、戻りが2/3ラインや1/3ラインで止まるかを確認します。どの場合も一度に全て売買するのではなく、分割や見送りを含めて考えます。
スピードラインだけで判断を完結させるより、水平な支持線・抵抗線、出来高、移動平均線が同じ付近にあるかを確認した方が、なぜその場所を見るのかを整理しやすくなります。
初心者がスピードラインでやりがちな5つの間違い
- 高値そのものへ線を引く
高値までの縦の値幅を3分割し、1/3・2/3の点を通します。 - 上側と下側の名前を逆にする
上昇時は急な上側が2/3、緩やかな下側が1/3です。 - ラインへ触れただけで買う
ローソク足、終値、高値・安値の変化まで待ちます。 - 新高値ができても古い線を使い続ける
同じ起点から、新しい高値で引き直します。 - 複数の時間軸の線を増やしすぎる
最初は週足か日足のどちらか一つに絞り、起点の日付を記録します。
私の場合、2本の線に短期と長期の線まで足すと、どれを見ているのか分からなくなりそうです。まずは一つの値動きに対する2本だけを残し、反応を振り返るところから始めます。
実例チャートで本当にそう見えるか
三菱重工業(7011)の週足で、2024年9月9日〜2025年3月21日を振り返ります。株価は株式分割調整後の値です。

起点は2024年9月13日の安値1,593.0円、直近高値は12月6日の2,485.0円です。上昇幅892.0円を3分割し、起点から2本のスピードラインを延ばしました。
12月13日の2/3ラインは約2,237.2円で、週安値は2,216.0円でした。約0.9%下回っているため、正確な接触ではなく「2/3ライン付近」と見ています。その後は2/3ラインを下回りました。
2025年1月17日の1/3ラインは約2,039.0円で、週安値は2,042.0円でした。翌週と翌々週も1/3ライン付近で上下しています。
2月21日は終値2,104.0円となり、その週の1/3ライン約2,162.9円を下回りました。しかし、3月には大きく上昇しています。ライン割れが、その後の方向を保証するものではないことも確認できました。
実例チャートの確認事項
TradingViewの三菱重工業(7011)週足を表示し、当ブログで2本のスピードラインを描画した公式スナップショットです。表示期間は2024年9月9日〜2025年3月21日です。
今回学び直して分かったこと
- スピードラインは、上昇・下降のペースを2本の斜め線で整理します。
- 起点から直近高値・安値までの縦の値幅を3分割します。
- 急な線が2/3ライン、緩やかな線が1/3ラインです。
- 2/3ラインを割ったら、1/3ラインを次の確認候補にします。
- ライン接触やブレイクだけでは売買を決めません。
- 新高値・新安値ができたら、同じ起点から引き直します。
- 支持線・抵抗線、出来高、ローソク足と組み合わせます。
スピードラインは、名前より仕組みの方がシンプルでした。ただし、起点と高値を変えると線も変わります。私はまず週足の大きな値動きだけに使い、2本のどこでどのように反応したかを後から確かめていきます。
さらに体系的に学びたい人へ
参考書籍
『マーケットのテクニカル分析』
ジョン・J・マーフィー著/パンローリング
ISBN 978-4-7759-7226-7
トレンドライン、リトレースメント、スピードラインなどを体系的に学びたい人向けの一冊です。
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参考資料
- John J. Murphy, Technical Analysis of the Financial Markets/日本語版『マーケットのテクニカル分析』
※この記事は学習内容を整理したもので、特定銘柄の売買を勧めるものではありません。スピードラインでの反発やトレンド継続を保証せず、線の起点・高値・安値の選択には判断が含まれます。投資前に最新情報を確認し、最終判断はご自身でお願いします。
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